ミュージックビデオの身体論③ 映像そのものがダンスする
MTV開局初日のオンエア作品の中でダンスが登場する僅かな例外としては、デヴィッド・ボウイ『Boys Keep Swinging』(1979年)が挙げられる。とは言え、本格的な振付や派手な動きがあるわけではなく、舞台上で歌うボウイがリズムに乗って身体を動かしている程度のものだ。カメラが捉えようとしているのはあくまで歌唱する姿であり、「ダンス主体」のMVとまでは言い難い。
同じく「ダンス主体」とは言えないかもしれないが、作中にダンス要素を組み込み、現在のMVにも通じる演出が見られるのが、ブロンディの『Rapture』(1980)だ。同曲は白人女性歌手による最初期のラップ歌唱としても知られ、MVではダンサーのウィリアム・バーンズが振付を担当すると同時に自らも出演。白い燕尾服とトップハットを身につけ、アンクル・サムやアメリカ先住民、バレリーナなど様々なコスチュームを着た人々と共にダンスし、身体を揺らす。
デヴィッド・ボウイ『Boys Keep Swinging』(1979)
ブロンディ『Rapture』(1980)
カーズ『You Might Think』(1984)
Peter Gabriel - Sledgehammer(1986)
ハービー・ハンコック『Rockit』(1983)
Coldcut & Hexstatic - Timber(1997)
音MADの先駆けとして語られる
The White Stripes - The Hardest Button To Button(2003)
The White Stripes - Seven Nation Army(2003)
The White Stripes - Fell In Love With A Girl(2002)
ミュージックビデオの身体論 佐々木友輔
https://note.com/sasakiyusuke/n/n667509cfff4a?magazine_key=m8d95f6c32fc7